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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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実験動物か害獣か

罠にかかったネズミは,とんでもない苦しみを味わいながら死んでいく。ハツカネズミをボール紙に糊づけして一晩放置する実験動物の申請があったとしても,動物管理使用委員会は承認しないとわたしは思う。「実験対象」というレッテルを貼られたハツカネズミには明らかに許されないことが,「害獣」というレッテルを貼られたネズミには認められるわけだ。
 このパラドックスがさらに深刻なものに思えたのは,その害獣ネズミがどこから来たのか知ったときだった。どうやら,その建物自体にもともと害獣ネズミの問題があったわけではないらしい。でも,何千もの小動物を飼っている施設だから,必ず”脱走組”が出る。要するに,悪いネズミのほとんどすべては,逃亡したよいネズミだったのだ。動物施設の管理者はこう語った。「動物が床に足をつけた瞬間に,それが害獣になるんです」。そして,ドーン!その道徳的な地位も一瞬で消えてしまうのだ。

ハロルド・ハーツォグ (2011). ぼくらはそれでも肉を食う:人と動物の奇妙な関係 柏書房 pp.291
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