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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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交換が人類の発展を生んだ

 10万年以上前,地球史上初めての現象がアフリカのある場所で起きた。ある「種」が世代を重ねるごとに,(さほど)遺伝子を変化させずに習慣を蓄積し始めたのだ。これを可能にしたのは交換,すなわちモノやサービスの個体間でのやりとりだった。このことによってこの「種」は,その大きいとされる脳にも収め切れない集団的な外部知性を持つようになった。二つの個体はそれぞれに一つの道具を作ったり,アイデアを思いついたりする術しか知らずとも,どちらも二つの道具やアイデアを持つことができた。単一の個体は一つのことしか理解できずとも,10個の個体が集まれば10を数える物事を理解できた。こうして交換によって専門化が促され,この「種」の習慣はさらにその数を増していった。一方で,各個体がつくり方を知る物の数は減っていった。消費はより多様化し,生産はより専門化した。当初,「種」の文化の累進的発展は緩慢だった。緊密なつながりを保てる個体群の大きさに制限されていたからだ。島の孤立状態や干ばつの被害によって個体数は減り,集団的知性も縮小する。しかし,この「種」はわずかずつその個体数と繁栄度を拡大していった。より多くの習慣を取得すればするほど,より多くの生態的地位(ニッチ)を占有し,より多くの個体を維持できるようになった。より多くの個体を維持すればするほど,より多くの習慣を取得した。より多くの習慣を取得すればするほど,より多くのニッチを生み出せた。



マット・リドレー 大田直子・鍛原多惠子・柴田裕之(訳) (2013). 繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史 早川書房 pp.532-533


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