I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

麻疹ウィルスが生き残る条件

 麻疹ウィルスが生き残るためには,一週間か二週間に一度は感受性のある人と出会う必要がある。ネズミ講のように,麻疹ウィルスは新しい犠牲者を必要とする。事実,麻疹が持続的に維持されるためには,50万人の人口を必要とする。50万人の人口規模で,出生率3パーセントの場合,毎年約1万5000人の新生児が感受性者として社会に生まれてくる。これで,麻疹ウィルスが維持される。しかし人類が50万人の人口集団を持つようになったのは,1万年ほど前にすぎない。すなわち流行の歴史もそれくらいでしかない。麻疹ウィルスは,動物からヒトへ先史時代に何回も種を超えて感染したのかもしれない。しかし十分な人口がなければ消滅した。
 たとえば北大西洋のフェロー諸島のような島嶼部では,何十年にもわたって麻疹が見られなかった。しかし,1846年に船が感染者を運んでくると,麻疹は一気に広がった。基本的にすべての人が感染する。同じような流行は,船乗りによってウイルスが持ち込まれた18世紀半ばのハワイでも見られた。発熱で灼かれた人は,身体を冷やすために海へ入った。しかし効果はなかった。流行が終息したとき,5人に1人が死亡していた。そしてウイルスは死に絶える。何年も後に,船によってふたたびウイルスが持ち込まれるまで。
マーティン・J・ブレイザー 山本太郎(訳) (2015). 失われてゆく,我々の内なる細菌 みすず書房 pp. 53

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