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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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イデア

 だから,原理はできるだけ単純で自明のものが望ましいのである。誰でも納得できるものが還元すべき既知のものとしては最適である。しかし,それは「わかる」ものとは限らない。というよりむしろ,分けることのできないもの,わからないものである。しかし,それを追い求めた究極にあるものは,いま手許にはないかもしれないが,かつては持っていたもの,ないし,かつては身近に自分もそのもとにあったものと考えることができる。
 いまはないにしても,追求する限りにおいて彼方にあるもの,ないしは,あったものを,われわれはいま持っている。これは「理念」と呼ばれる。プラトンがイデアと呼んだものである。芸術家が自分の理想とする作品を作ろうと努力して到達しえないとき,めざしている理想的なものはイデアである。技術者が完全なものをつくろうと努力して,到達しえないであろうけれども,彼が制作の過程で抱いている完全なものがイデアである。幾何学者は,感性的な世界には存在しえない直線や図形や比をあつかっている。彼のあつかう対象はイデアである。

坂本賢三 (2006). 「分ける」こと「わかる」こと 講談社 pp.61-62
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