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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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基本的帰属錯誤

 わたしたちが性格とは統一された包括的なものだと思いこむのは,人が頭の中で情報処理するときに,一種の死角のようなものがあるからである。こういう傾向を心理学者は,「基本的属性認識錯誤」(fundamental attribution error; FAE)と呼んでいる。この面白い言い回しは,人間は他人の行動を解釈するとき,おしなべてその根本的な性格特徴を過大評価し,状況や背景の重要性を過小評価するということを意味している。わたしたちは常に出来事を状況的に解釈しないで,素因的に解釈しようとする。
 たとえば,同じ程度の技術を持つバスケットボール選手のチーム2組に,片方は照明のきいた体育館で,もう一方は照明の暗い体育館でシュート練習をしてもらい(当然こちらはシュートの失敗も多くなる),観客にどちらの選手が上手いか判定してもらうという実験がある。するとたいていは照明のきいた体育館の選手のほうが上手いと答える。
 また別の例では,クイズ・ゲームをするという名目で人を集め,2人1組に分けて,くじ引きをしてもらう。どちらかが「解答者」のカードを引くと,片方は「出題者」になる。出題者には,自分が特に興味を持っていたり,専門知識を持っている分野から「難問ではないが回答不能ではない」程度の問題を10問選んでもらう。たとえばウクライナの民族音楽に詳しければ,それに関連した問題を考えてもらうわけだ。クイズが終わると,出題者にも解答者にも,相手の一般知識の程度を評価してもらう。するとまず間違いなく,解答者は,出題者よりもはるかに知識があると答える。

マルコム・グラッドウェル 高橋 啓(訳) (2001). なぜあの商品は急に売れ出したのか 口コミ感染の法則 飛鳥新社 p.216-217

※"fundamental attribution error"は,「基本的帰属錯誤」などと訳されるのが一般的。原因帰属バイアスの一種。訳者が知らなかったということか。
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