I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

規則化

 現代の言語学者たちはこの過程を「規則化」と呼んでいる。規則化の過程はいまなお進行中である。たとえば,繁栄するという意味がある動詞thriveを見てみよう。約90年前の『ニューヨーク・タイムズ』紙は,カジノの賑わい振りを扱った記事の見出しの中で,thriveの過去形としてアプラウトに従ったthroveを使っていた。しかし,2009年の『タイムズ』紙の科学欄の記事に付けられた「大量絶滅のあと,繁栄をとげた軟体動物も」の見出しには,throveではなくthrivedが登場している。幸運にも繁栄をとげた軟体動物とは異なり,throveはアプラウトに従う不規則動詞の大量絶滅を免れることができなかったのだ。逆戻りはありえない。ひとたび規則化されてしまった動詞が不規則化されることはほぼ皆無なのである。数少ない例外が,過去形がsneakedだがsnuckと不規則化して使われることのあるsneak(こそこそ歩き回る)だ。これと過去形がflewなのにfliedが使われることもあるfly(飛ぶ)を例にして言えば,snuckの数より,不規則動詞の仲間から飛び出してしまったfliedのほうが圧倒的に少ないのだ。


 テルモピュライの戦いで最後まで奮戦したスパルタの精兵300人さながらに,英語の強変化動詞―300の強者―は,紀元前500年ころから一族に加えられた情け容赦のない猛攻に敢然と立ち向かって撃退してきた。戦いは英語圏のすべての都市,町,村,通りを戦場にして,一日も休むことなく続いた。いま残っている300ほどの不規則動詞は,2500年もの長きにわたって戦ってきた。これらの不規則動詞は単なる例外ではなく,戦いを生き抜いた猛者たちなのである。



エレツ・エイデン ジャン=バティースト・ミシェル 坂本芳久(訳) (2016). カルチャロミクス:文化をビッグデータで計測する 草思社 pp. 61


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