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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   
カテゴリー「金融・経済」の記事一覧

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大農場

 ひとつのプランテーションが使いものにならなくなれば,新たにまた別の農場が開かれた。それは農場全体を一から作りあげる大事業だった。土地を開梱し,鉄道を敷設し,電線も延長しなければならず,労働者用の住まいや学校,病院も建設しなければならない。また,バナナを運ぶロバや食用の家畜のための放牧場を設け,製材所や機械工場,水上輸送システム,発電所などのインフラも整えることになる。会社の幹部が利用するさまざまな施設も,それまでのプランテーションにおけるのと同様に建設する必要があり,ときには以前の建物を解体し,それをふたたび新しいプランテーションで組み立てることもあった。こうしてどのプランテーションにもゴルフコースや教会,レストランが建造され,独身幹部向けには,しばしば年端のいかない娘たちを集めた売春宿も設けられた。それらはバナナ会社の幹部たちが,母国では絶対に手の届かない,あるいは絶対に許されることのないライフスタイルを楽しむための施設だった。ユナイテッド・フルーツの幹部たちが住むこの小さな居留地(コロニー)は,白人にとってけっして住みやすいとはいえない熱帯地方に,有能な管理者を惹きつける大きな誘因になっていた。

ダン・コッペル 黒川由美(訳) (2012). バナナの世界史:歴史を変えた果物の数奇な運命 太田出版 pp.152-153
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バナナと国家問題

 コロンビアの問題をすべてバナナ産業のせいにするのはフェアではない。だが,コロンビアをはじめとするラテンアメリカの国々では,バナナ関連の問題で軍事介入が行なわれた結果,常に国家体制が脆弱で,真の民主主義と適正な経済政策が根づくのが阻害された,という指摘は重要である。ラテンアメリカの政府が,一般の国民ではなく外国の民間企業に下支えされる伝統は,ユナイテッド・フルーツ社がもたらしたものだ。
 こうした傀儡政権を擁する国家には名前がつけられた。中央アメリカの謎めいた架空の国を舞台にし,1905年に発表されたO・ヘンリーの「キャベツと王様」という短編のなかで初めて使われた言葉だ。しかし,O・ヘンリーが創作したこの言葉は,コロンビアの虐殺事件のあと,1935年に<エスクワイア>誌が,ラテンアメリカで米国が繰り広げた暴挙を年代順に記録した記事が発表されるまで,一般に広まることはなかった。この記事ではそうした行為を「非人間的」と書き,果物会社や米国政府にやすやすと従う小国家のことをO・ヘンリーと同じく「バナナ共和国(リパブリック)」と呼んだのだ。

ダン・コッペル 黒川由美(訳) (2012). バナナの世界史:歴史を変えた果物の数奇な運命 太田出版 pp.129-130

ユナイテッド・フルーツ社

 1920年代後半までにユナイテッド・フルーツ社の企業価値は1億ドルを超えていた。6万7千人の従業員を抱え,650万ヘクタールの土地を保有し,32カ国で事業を展開し,教会からクリーニング店までありとあらゆる施設を経営していた。5千6百キロメートルにおよぶ電報線と電話線を張りめぐらせ,船と陸を結ぶ通信システムを整備していた。それは,貨物船が入ってきたとき,波止場の荷積みの準備ができているか確認するために開発されたものだ。傷みやすい果物にとって,時間はきわめて大切な要素である。合図を受けた作業員は,最長で72時間ぶっとおしで,収穫と積み荷の作業を続ける。さらに遠くパリにまでバナナを輸出し,砂糖,カカオ,コーヒーの市場でも最大のシェアを獲得しつつあった。活躍の場はフルーツ産業にとどまらず,アンドルー・プレストンは2つの銀行,保険会社1社,製鉄会社1社の代表の座についた。一方,多大なる影響力をもつユナイテッド・フルーツ社のマイナー・C・キースは,人々から“中央アメリカの王冠なきキング”と呼ばれた。

ダン・コッペル 黒川由美(訳) (2012). バナナの世界史:歴史を変えた果物の数奇な運命 太田出版 pp.109-110

家の面積

 全米住宅建設者協会のデータによると,ここ35年で1世帯あたりの人数は減少したが,家の面積は66パーセントも増加した。さらに,大きい家が新築される数も飛躍的に増加した。2400平方フィート[約220平米]を超える住宅の数は,1970年とくらべて4倍になった。現在では新築住宅のほぼ半数が2400平方フィート以上だ。この傾向を強めたのは,家族が個々に用を足せるだけの部屋数がほしいという気持ちである。浴室が1つしかない住宅の割合は,1970年の52パーセントから5パーセントにまで減少している。逆に,浴室が3つ以上ある家は1970年にはほとんどなかったのに,現在は全体の25パーセントをやや上まわる。

ジーン・M・ドゥエンギ/W・キース・キャンベル (2011). 自己愛過剰社会 河出書房新社 pp.159
(Twenge, J. M., & Campbell, W. K. (2009). The Narcissism Epidemic: Living in the Age of Entitlement. New York: Free Press.)

愛国マーケティング

 2010年11月に発売された三洋電機のホームベーカリーの「GOPAN」は,米からパンをつくることができる製品であり,発売以降ずっと品薄状態で,1年経ってもいまだ入手困難が続く大ヒット商品だ。この商品を購入して満足したユーザーたちは,単に米からつくったパンの美味しさだけに満足しているわけではない。三洋電機に寄せられた商品の購買理由や反響の多くが,食料自給率,米の消費拡大に貢献したいからといった感情からくる購入だったという。つまり,「GOPAN」のヒットは愛国の感情とワンセットなのである。実際,これを発売した三洋電機も,商品の性能やコストを訴求するだけではなく,「自給率」「米消費」など,商品が持つ社会的役割を積極的に広報してきた。
 「GOPAN」のヒットを後押ししたのは,日本人が共有する食料自給率低下への危機感という感情なのだ。愛国マーケティングとでも言ったところだろうか。

速水健朗 (2011). ラーメンと愛国 講談社 pp.47

リスク預けっぱなし

 サラリーマンとは,ジャンボジェットの乗客のように,リスクをとっていないのではなく,実はほかの人にリスクを預けっぱなしで管理されている存在なのである。つまり,自分でリスクを管理することができない状態にあるということなのだ。
 大学を出て新卒で会社に入り,定年の60歳まで働いたとすると38年間を会社で過ごすことになる。しかし近年,会社の「寿命」はどんどん短くなっている。平均すると30年ぐらいで「会社の一生」は終わるようになっている。人間の平均寿命は80歳を超える。だからこそ,ひとつの会社に自分の人生をすべて委託するのは非常に高リスクなのである。

瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.230-231

リテールに走る理由

 個人を相手に金融商品を売る会社にとって,いちばんあありがたい顧客となるのは,「自分の頭で物事を考えない」人々だ。そしていつの時代もそうした人々はたくさんいる。つまり,個人を相手に商売するときは,「人数がたくさんいて,なおかつ情報弱者のターゲット層」のほうが効率が良いのである。だから,ホールセール(機関投資家や企業相手の大口取引)の金融業で設けられなくなってきた会社は,みなリテール(個人向けの小口の金融ビジネス)に進出しているのだ。

瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.158

ブラック化のパターン

 中小企業でブラック化するパターンに多いのは「カン違いカリスマ社長が君臨し,イエスマンだけが役員に残り,社員はみな奴隷」という構図だ。特色のない町工場などは,会社の主力商品自体が大企業に買い叩かれるコモディティ商品であるため,それでも会社が無理矢理利益を出そうとすると,給料を下げて従業員を搾取するしかなくなってしまう。だから,奴隷状態でも甘んじて働く社員しか残らない。

瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.100

CMは要注意

 最近ではケータイのソーシャルゲームのコマーシャルを見ない日はないが,「大量の広告を打っている企業は要注意」という法則もあてはまる。市場の天井が見えつつあるソーシャルゲーム業界にあえて就職するのは賢い選択とは言えないことが分かるだろう。
 さらに言えば「現在絶好調な会社」に就職することは,言葉を変えると,「数年後にはほぼ間違いなく輝きを失っている会社」に就職することとほとんど同義である。それはこの15年のIT業界を振り返ってみてもよく分かる。

瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.98

成功する思考法

 「ブームとなってから投資すると,死ぬ」というのが投資の鉄則だ。誰も投資など考えられない,焼け野原のようになっているときに投資して,誰よりも早く実った果実を回収し,「まだまだ儲かる」と普通の人が思い始めるタイミングでさっと身を引く。
 これが,成功する投資家に共通する思考法だ。世界でもっとも長期にわたって成功している投資家一族,ロスチャイルド家も,この考え方で莫大な資産を築いてきた。「地面に死体が転がっているような不景気なときに投資をし,まだ早すぎるというタイミングで売り抜けろ」というのがルールなのである。えげつないといえばえげつないが,投資というシビアなゲームに臨む姿勢については,我々も学ぶべき点が多々あるだろう。

瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.86-87

よくある失敗

 卒業したての学生が起業するときに,いちばんよくある失敗は,「コモディティ会社」を作ってしまうことだ。
 たとえば文系の学生が,自分が家庭教師のアルバイトをしているからと,家庭教師派遣の派遣会社を作ったり,理系の学生がプログラミングができるからといって,ゲームやシステムの開発会社を作るのが,その典型的なパターンである。
 すでに家庭教師の業界も,ソフトの開発会社も,産業としては古い。現在では多くの会社が乱立し,過当競争が起きている。学生ベンチャーがその業界に新規参入し,たまたまある時期成功したとしても,それは学生の労働力が社会人に比べれば圧倒的に安くすみ,またヒマであるがゆえに仕事が速いといった理由で,一時的に競争力があったにすぎない。
 そういう経緯で起業した会社が,10年ほど経って社員の平均年齢が三十数歳となり,体力で勝負することができなくなると,ただの「高学歴ワーキングプア」集団の会社になってしまう。実際にそのような例を私は数多く見てきた。
 だからこそ学生は,卒業後すぐに起業するのではなく,一度就職して,社会の仕組みを理解したうえで,コモディティ化から抜け出すための出口(エグジット)を考えながら仕事をしなければいけない。

瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.74-75

意思より無難な意見

 実は,経営者や管理職にしてみれば,意志を示すよりも意見を言っている方が楽である。意志は個人の考えを示すものであるから,失敗した場合には,それを示した本人が責任を追及される。一方,意見は客観的,建前論的なものであるから,失敗した場合でも,よほどのことがない限り,個人の責任は追及されない。つまり,意志を示すよりも無難な意見を述べているほうが,自分の立場や地位を守るためには都合が良いのだ。

深田和範 (2010). マネジメント神話が会社を滅ぼす 新潮社 pp.29-30

面接の仕方

 たとえば最近ではほとんどの企業が,採用プロセスの一環として,「あなたについて聞かせて下さい」式の古典的な就職面接を行っており,この面接だけで応募者を評価する企業も多い。だが実はこういった従来型の面接は,応募者の将来性を予測する上で,最も役に立たない手段の1つだ。なぜかと言えば,面接官は最初のわずかなやりとりをもとに,無意識のうちに候補者の評価を決めてしまうことが多いからだ。たとえば自分と性格や興味が似た応募者に好意的な反応を示し,面接の残り時間をかけて,その初印象を裏づけるために,ひたすら証拠を集めたり,質問を構成したりするのに終始する。「以前の仕事では高い地位に就いておられたのに,やめられたんですね。かなり野心的とお見受けしましたが?」と,「あまり仕事に打ち込んでいなかったんですね」を比べて欲しい。つまり面接官は,候補者が社員としてふさわしい人材かどうかを明確に示す重要情報を,見過ごしがちなのだ。それよりも,候補者のサンプルを入手するとか,困難な状況設定にどう対処するかを質問するなどの,より構造化された手法の方が,応募者の将来性を測る判断材料としてはるかに優れている。一説には,伝統的な面接の3倍近く信頼性が高いという。

シーナ・アイエンガー 櫻井祐子(訳) (2010). 選択の科学:コロンビア大学ビジネススクール特別講義 文藝春秋 pp.157-158
(Iyengar, S. (2010). The Art of Choosing. New York: Twelve.)

地獄への道は善意によって敷き詰められている

 イギリスには,上限金利の規制がありません。貸金業者はどのような金利をつけるのも自由で,短期資金を融通する業者は1日1パーセント程度の貸出金利を設定しています。これを福利で年利換算すると約2700パーセント。日本の上限金利は金額に応じて年15〜20パーセントですから,とてつもない暴利ということになります。
 市民派の主張するように,高い金利が自殺の原因になるのなら,イギリスでは日本よりはるかに多くの自殺者が出るはずです。ところがイギリスの自殺率(6.4)は日本(25.8)の4分の1しかありません。上限金利と自殺に因果関係があるとするならば,金利を引き下げるのではなく,イギリスのように上限金利を撤廃して,すべての金融業者を法の管理の下に置くべきなのです(上限金利規制がなくなれば,闇金は存在しなくなります)。
 イギリスでも過去,上限金利の導入が検討されたことがありました。しかしそのときは,貧しいひとたちが短期資金を借りられなくなるという理由で,消費者保護団体が率先して規制に反対したといいます。その一方で日本では,武富士をはじめとして大手消費者金融がつぎつぎと経営破綻し,個人ばかりか中小企業までもが短期資金を求めて闇金に駆け込んでいきます。
 いつの時代も,地獄への道は善意によって敷き詰められているのです。

橘 玲 (2011). 大震災の後で人生について語るということ 講談社 pp.84-85

家賃

 月額家賃30万円で家を借りていると聞けば,だれもがもったいないと思うでしょう。しかしこの物件の市場価格が1億円だとすれば利回りは年3.6パーセント(360万円÷1億円)で,実質利回りの平均(5パーセント)を大きく下回っています。これが高額の賃貸物件に住む資産家がいる理由で,彼らは割安な不動産物件を借り,資金をより利回りの高い(正確にはリスク/リターン比の高い)収益機会に投じたほうが有利だということを知っているのです(不動産業界のひとたちが賃貸物件に住んでいる理由もここから説明できます)。

橘 玲 (2011). 大震災の後で人生について語るということ 講談社 pp.52

起業家はどちらが多い?

 しかし,発展途上国の出身者や,そこでしばらく暮らしたことがある者なら,そうした国々には起業家があふれてかえっていることを知っている。貧しい国々の通りでは,考えうるあらゆるものを売る老若男女がいる。むろん子供の売り子もいる。彼らはわたしたちが買えると思ったことがないものまで売っている。たとえば貧しい国の多くで売られているもののなかには,アメリカ大使館でのビザ申請の行列の順番(売り手はプロの並び屋),路上駐車の見張り(車を破損されないように),特定の街角での屋台設置権(売り手はたぶん腐敗した地元警察のボス),物乞いをする場所(売り手は地元の暴力団)なんてものまである。こうしたものはみな,人間の創意工夫,起業家精神が産み出した産物だ。
 これとは対照的に,富める国に住む人々の大半は,そもそも起業家になれるような状況にない。大半の者が会社員で,なかには数万人の従業員を雇っている者も,きわめて特殊な専門的職業についている者もいる。自分で事業を立ち上げて「ボスになる」ことを夢見たり,その夢を軽く口にしたりする者もいないわけではないが,それを実行に移す者はほとんどいない。難しいし,リスクをともなうからだ。したがって,富裕国のほとんどの人は,自分のではなく他人の起業家精神による創意工夫の上に乗っかって仕事をしているにすぎない。

ハジュン・チャン 田村源二(訳) (2010). 世界経済を破綻させる23の嘘 徳間書店 pp.215-216

トリクルダウン理論の結果

 要するに,80年代以降わたしたちは,「金持ちがより多くの富を創出して,他のどんな方法よりもパイを大きくしてくれる」と信じて,彼らにより大きなパイの分け前を与えてきたのだ。で,金持ちの分け前はたしかに大きくなった。ところが彼らが実際にやったことは,パイが大きくなるスピードをゆるめるということだった。
 問題はつまり,投資家に所得を集中させたところで,当の投資家が投資を増やさなければ,成長の加速はないということ。スターリンがゴスプラン(国家計画委員会)に所得を集中させた場合は,少なくともそれは確実に投資に向けられたはずだ。だが資本主義経済にはそのような仕掛けはない。だから実際には,80年代以降,所得格差が拡大したにもかかわらず,すべてのG7(アメリカ,日本,ドイツ,イギリス,イタリア,フランス,カナダ)および大半の発展途上国で,投資の対GDP比率は下落した。

ハジュン・チャン 田村源二(訳) (2010). 世界経済を破綻させる23の嘘 徳間書店 pp.198

生産性

 ではなぜ,工業製品の相対価格は落ちているのだろうか?それは製造業のほうがサービス業よりも生産性をより速く向上させられるからだ。製造業部門の生産量のほうがサービス部門のそれよりも速く伸びるので,サービスにたいする製造品の相対価格は落ちるのである。生産性を高めるのは,機械化や化学的方法の使用がずっと容易な製造業のほうがサービス業よりも楽ということ。サービスではその性格上,多くの場合,生産物の品質を落とさずに生産性の工場をはかるのは本質的に難しい。
 生産性を高めれば生産物そのものが破壊されてしまう,という場合もある。たとえば弦楽四重奏団がテンポを速めて27分の作品を9分で演奏したら,生産性は3倍になったと言えるだろうか?

ハジュン・チャン 田村源二(訳) (2010). 世界経済を破綻させる23の嘘 徳間書店 pp.138

サービス産業の欠点

 発展途上国の生産性向上能力は限られているため,サービスを経済成長の原動力にするのは難しい。それにサービスは貿易品になりにくいので,サービスに依存する経済は輸出能力が低くなる。輸出能力が低くなれば,海外から先進技術を買う力は弱まり,その結果,経済成長のスピードも落ちる。

ハジュン・チャン 田村源二(訳) (2010). 世界経済を破綻させる23の嘘 徳間書店 pp.131-132

インフレ率

 1980年代以来,自由市場を信奉するエコノミストたちは「インフレは経済に悪いので,なんとしてもインフレ率を超低水準(理想的にはゼロ)に抑えて,経済を安定させないといけない」ということを他の人々にも信じ込ませようとしてきた。彼らが目標として推奨したインフレ率は1〜3%で,それはMIT(マサチューセッツ工科大学)の元経済学教授で,1994年から2001年までIMP(国際通貨基金)のチーフ・エコノミストを務めた,スタンレー・フィッシャーが考案したものだった。
 ところが,低いレベルのインフレが経済に悪いという証拠は,実はまったくないのだ。たとえば,自由市場経済学者たちがシカゴ大学,IMFといった機関でおこなった研究でも,8〜10%未満のインフレは経済成長率にまったく影響をおよぼさない,という結果が出ている。経済成長に影響をおよぼさないインフレ率を20%,いや40%まで高めた研究さえある。

ハジュン・チャン 田村源二(訳) (2010). 世界経済を破綻させる23の嘘 徳間書店 pp.88-89

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