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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   
カテゴリー「社会一般」の記事一覧

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大量の死知識

はっきりしている点がある。デジタル・データベースであれ,人の頭脳であれ,知識を蓄積しているところはどこでも,エミリーおばさんの屋根裏部屋ではないが,役に立たなくなった死知識が大量に詰まっているのである。事実や思想,理論,イメージ,理解など,かつては正しかったがいまでは変化に対応できなくなっているか,もっと正確だとされる新しい説によって時代遅れになったものが大量にある。死知識は,どの個人,企業,制度,社会にとっても,知識基盤のうちかなりの部分を占めている。

アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.214
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知識が必要

いつの時代にも,富を生み出すにはかならず,知識が必要である。狩猟採集民族は,狩りをするにあたって,動物の移動パターンの知識を必要としていた。だが,こうした知識はいったん獲得すれば,何世代にもわたって役に立つのが通常であった。工場労働者は,機械を素早く安全に操作する方法を知っている必要があり,この知識は職についているかぎり役立った。
 現在では,仕事に必要な知識は急速に変化しているので,職場内と職場外で新しい知識を学ぶ必要が高まり続けている。学習は終わりのない継続的な過程になった。このため,考えている点の一部が馬鹿げていても,困惑する必要はないといえる。馬鹿げたことを信じているのは自分だけではないのだ。
 その理由はこうだ。知識のすべての部分に結局のところ,賞味期限がある。ある時点で,知識は古くなり,「死知識」とでも呼べるものになる。

アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.211

知識=非競合財

知識が非競合財であることは,それを使うときに料金を支払っても支払わなくても変わらない。特許権,著作権,コピー防止技術などによって,知識のうちある部分を保護し,料金を支払わない人が利用できないようにすることは可能だ。だがそれは法律制度の結果であって,知識そのものの本来の性格とは関係がない。知識はそもそも使えばなくなるものではない。算数はいくら使っても,なくなることはない。

アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.193

信奉者と懐疑派

グローバル化の真の信奉者はこう主張する。第1に,グローバル化には生活水準を高める素晴らしい可能性があり,どの国もいつまでもこの可能性に背を向けているわけにはいかない。第2に,グローバル化によってしか解決できない新しい問題にぶつかっている。第3に,技術が進歩して,グローバル化が容易になっていく。
 これに対して,懐疑的な人はこう反論する。第1に,平和がもたらす利益もやはり素晴らしいが,その利益に背を向ける国がたえない。第2に,グローバル化ですべての問題が解決できるわけではない。第3に,技術の歴史をみると,過去の技術で容易になった点が,新しい技術で逆にむずかしくなる例がいくらでもある。

アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.166

悪徳のグローバル化

皮肉な話だが,アメリカ国際開発庁の元副長官,ハリエット・バビットはグローバル化がさらに進展すると予想する別の理由を明らかにしている。「悪徳は美徳よりもはるかにグローバル化が進んでいる」というのだ。
 たとえば違法ドラッグの取引は,国連の調査では全世界で4千億ドルになっており,世界貿易の約8パーセントにあたるほどの規模がある。ドラッグ産業は最新の技術を駆使して巨大な地下経済を形成しており,多数の国で公式の経済を上回るほどの規模をもち,世界の端から端までを活動空間にしている。アフガニスタンやコロンビアから,リオ・デ・ジャネイロの学校やスラムまで,神橋やシカゴの街頭まで,ドラッグ密輸は世界有数のグローバル産業になっている。その意志をもつ政府すら,この産業を取り締まることはできない。
 性の産業もやはり世界的だ。ルーマニアにあるアルバニア人の難民キャンプでは,若い女性が誘拐され,性の奴隷としてイタリアに送られている。ブカレストでは「人材エージェント」が「ダンサー」をギリシャ,トルコ,イスラエル,さらには遠くの日本の性産業に売っている。国連児童基金(ユニセフ)によれば,毎年何百万人の貧乏な若者が性産業に売られており,その大部分は女性である。

アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.162

猛進中毒者

「痙攣速度」「せかせか病」「インターネット時間」「デジタル時間」「時間飢饉」などの新しい言葉が使われうようになり,筆者の以前の予想の正しさが示された。現在,何千万,何億もの人が時間の短縮によって苦しめられ,ストレスを感じ,「未来の衝撃」を受けていると感じている。意外だとは言えないことだが,ロンドンのイブニング・スタンダード紙は,減速を望む「猛進中毒者」への支援を専門とするセラピストが登場したと伝えた。
 人はみな,待たされるのを嫌う。子供に見られる注意欠陥障害(ADD)は文化ではなく,化学物質に原因があるのかもしれない。だが,未来が加速しているために,満足が得られるまで待つのを嫌う傾向が強まっている現状をまさに象徴している。

アルビン・トフラー&ハイジ・トフラー (2006). 富の未来 上 講談社 pp.114-115

妥協できない

「考慮する条件が山ほどあり,パートナー候補の数も多いと,どうしても完璧を求めるようになります。身長,年齢,宗教をはじめ,他の45の条件を1つでも満たさない相手では,妥協できなくなるのです」。アリエリーは選択肢を捨てることの難しさを,コンピュータゲームを使ってさらに突き詰めていった。そのゲームではドアを開けて部屋の中にある商品を見つけると,本物の現金がもらえる。一番効率がいい戦略は,画面に現れる3つのドアを1つずつ開けて1番豪華な商品を見つけたらその部屋にとどまることだ。しかし何度か繰り返してその戦略を学んでも,新しい特徴が加わると,その戦略に従うのが難しくなる。しばらく部屋の外にいるとドアが小さくなってやがては消えてしまう,つまりドアが二度と開かなくなるという性質が加わったとする。そうするとプレイヤーはひどく気にして,ドアを閉めさせまいと部屋にすぐ戻る。たとえ手に入れた金額が減ってしまうことになってもだ。

ロイ・バウマイスター&ジョン・ティアニー 渡会圭子(訳) (2013). WILLPOWER 意志力の科学 インターシフト pp.135
(Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2011). Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. London: Penguin Books.)

大金持ち

不幸な現実だ,と,ワンカ氏はひとりごちた。なにか大きなものが分捕られそうになると,世のほとんどの人間はわきまえがなくなる。たいていは,お金が争いの因。しかしあの丸薬は,お金よりも大きい。いくらお金を積んでもできないことができるのだ。少なくとも,一粒百万ドルの価値はある。二十歳若返られるならそれくらいぽんと出す大金持ちを,たくさん知っている。

ロアルド・ダール 柳瀬尚紀(訳) (2005). ガラスの大エレベーター 評論社 pp.174

殺人と暴力事件

平等と社会環境の質との関係を示すものとしてもう1つ重要なのは,殺人と暴力事件についての調査である。国内のものにせよ,国ごとの比較にせよ,格差が大きいところほど殺人事件の発生率が高くなるという強い傾向があることが数多くの研究から示されている。アメリカ国内では1990年の人口10万人あたりの殺人件数は,州によって2から18までとばらつきがあった。この違いをズバリ1つの理由で説明するとしたら,その最も有力なものは,収入の格差だったのである。34の似たような研究例をまとめたところによると,収入の格差と殺人・暴力事件の関係はいくつもの違う文化圏に確固として存在するという。

リチャード・ウィルキンソン 竹内久美子(訳) (2004). 寿命を決める社会のオキテ—シリーズ「進化論の現在」— 新潮社 pp.31-32

日本

最後の例として日本について見てみよう。この国は1980年代の末に世界一の長寿国になり,また社会的にも極めてよくまとまっていると思われた。つまり,長期にわたる収入格差の縮小,先進国中唯一といえる犯罪発生率の低下が,ここに極まったのである。

リチャード・ウィルキンソン 竹内久美子(訳) (2004). 寿命を決める社会のオキテ—シリーズ「進化論の現在」— 新潮社 pp.29

相対的な収入

このパラドックスに対して最も当たっていると思われる説明は,健康にとって問題になるのは絶対的な収入や生活水準ではなく,相対的な収入と社会的地位であるというものである。収入が社会的地位と関係するような場合,国内における比較と同様,収入はまた健康とも関係してくる。収入が,人々の社会階層におけるポジションとほとんど,あるいはまったく関係ない場合,(国と国との比較の時のように),収入から健康格差が生じることはまずない。やはり,心理社会的な道筋が重要なのだ。当人たちが相対的な収入や社会的な地位について何とも思っていないとしたら,相対的な収入が健康と関連するとはとても信ずることができないではないか。
 こういう見方が妥当であることは,格差が少なく,貧富の差が小さい社会ほど健康状態が良い傾向があるという確かめられている。先進国で言えば,平均寿命が最も長い国は最も格差の少ない国であり,それは最も経済的に恵まれた国ではないのだ。今やその証拠が,先進国と,先進国とまでは言えない国の関係において山ほど集まっている。

リチャード・ウィルキンソン 竹内久美子(訳) (2004). 寿命を決める社会のオキテ—シリーズ「進化論の現在」— 新潮社 pp.23-24

犯罪に近い

イスラエルの政治家で,小さなテロは許容すると公言する者はいないが,実際に国がおこなっているのはそういうことだ。国民が恐怖にとらわれれば国が機能しなくなり,テロリストの思うつぼだからだ。国の戦略のなかでは,テロが起きた直後でもできるだけ普通の生活を送れるようにすることに主眼がおかれている。たとえば,警察は爆発後4時間以内には現場を片付け,人々にすみやかに仕事,買い物,レジャーに戻ってもらうようにする。小さなテロは,脅威というより犯罪に近い感覚で扱われている。

ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.488

群れる

これが群れるということだ。そして,市場ではこうした傾向が強まっているようだ。さまざまな市場価格の動きの間に関連性が見えるようになってきたことから,それがうかがえる。みんながあらゆるものに少しずつ投資し,同じ戦略を利用しているのだろう。これが情報時代のリスクの1つである。多くの情報を共有しているため,独自性が失われてしまう。独自性を追求する代わりに,自分と同じような考えをもつ人を探し,「友だち」や「フォロワー」の数を競っている。史上では,問題の多い投資家が価格を引っ張ることがある。そうして価格が形成されるのである。

ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.395

雨のバイアス

民間企業の天気予報に関しては,どれほど正確かという統計的な現実は必ずしも重要ではない。消費者が正確だと認識することに価値がある。
 たとえば,民間企業の天気予報では,降水確率50パーセントという言い方はめったにしない。消費者の目にはどっちつかずで優柔不断に映るからだ。そのため,正確性や正直さを多少犠牲にしてでも,切り上げて60パーセント,あるいは切り下げて40パーセントとしている。
 フレアは,こうした数字のごまかしについて明かしてくれた。だから民間企業の天気予報には意図的なバイアスがかかっている。特に降水確率については実際より高くなるようにバイアスがかかっているようだ。これを気象学者は“雨のバイアス”と呼んでいる。たいてい,公的機関の予報との差が大きいときほど強いバイアスがかかっている。民間企業の天気予報は“価値を足すために正確性を引いている”のである。

ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.147

革新者

革新者というのは,大きく考えると同時に小さく考える。新しいアイデアは,ほかの人が面倒くさがって取り組まない問題の細部に宿っているものだ。そして,抽象的なことや哲学的なことを考えているときに,ふと見つけたりする。世の中のあり方を考えたり,支配的な枠組みに代わるものはないかと考えたり,といったときだ。新しいアイデアは,この2つの領域にはさまれた,私たちが人生の99パーセントを過ごす場所では見つからない。分類してどこかに当てはめるという,私たちが普段おこなっている方法では有益な情報を見逃してしまう。

ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.119

杭のせい

私たちは四角い杭が丸い穴に入らないとき,たいてい杭のせいにする。情報に接したときには,直感的に分類する。普通はわかりやすいように少ない数に分ける(国勢調査局が数百もある民族をたった6つの人種に分類していることや,数千のアーティストをいくつかのジャンルに分類していることを考えればわかるだろう)。

ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.114

ファイブ・ツール

長らく野球のスカウトが採用してきた評価手法に「ファイブ・ツール」というものがある。パワー,ミート力,足の速さ,肩の強さ,守備力だ。当然ながら批判も多い。四球を選ぶ,三振を避けるといった,打席での能力は項目に入っていない。また,すべての項目が同じように重要であるような印象をあたえてしまうが,実際にはショートと捕手以外のポジションでは,パワーがほかの項目よりはるかに重要となる。
 ファイブ・ツールの各項目の評価が,実際の成績に結びつくのかという問題もある。ファイブ・ツールが本当に有効であるとすれば,選手がマイナーリーグの階段をのぼるにつれて,各項目の評価が統計データに反映されていかなければいけない。ミート力は打率に,パワーは長打数になってあらわれなければ意味がない。たとえば,スカウトがマイナーリーグのある選手のパワーに80点中70点を与えたとしても,1シーズンに10本のホームランを打つのに苦労しているとすれば,そのレポートは信頼できるだろうか。

ネイト・シルバー 川添節子(訳) (2013). シグナル&ノイズ:天才データアナリストの「予測学」 日経BP社 pp.106-107

シングルイシューのセミプロ化

相手によって答え方は変わりますが,基本的には「世の中をマシにしていくために,あなたにできることがあるよ」という話をよくします。「政治的な話題」に興味を持つのは難しくても,自分にできる何かひとつ,というのには興味を持てるのではないかな,という提案です。
 その際によくいうのが,「シングルイシューのセミプロ化」という方法です。これは,興味を持てる「シングルイシュー」(特定の論点)を持ち,一言物を申せるくらいの知識を備えた上で,具体的なカイゼンを要求・実行してほしいということです。

荻上チキ (2012). 僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか:絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 幻冬舎 pp.204

くじ引き

難病患者でもある作家の大野更紗さんは,その著書『困ってるひと』(ポプラ社)の中で,「社会の中で,ごく少数の人が何らかの大きなリスクを負うこと」——たとえば,「何十万人に1人と言われる難病にかかるようなこと」——を指して,「くじ」という表現を使いました。
 僕は,この表現がとても気に入っています。
 この社会には,様々な「くじ」が用意されていて,何千分の1であろうと何万分の1であろうと,かならずその「くじ」を引いてしまう人がいます。この「くじ」とはもちろん,先天的なものとは限りません。たとえば明日,誰かが,交通事故にあって半身不随になるかもしれないし,難病にかかってしまうかもしれない。そういった「まさか自分が当事者になるとは思いもよらなかったような『くじ』」も,一定数の人が必ずそのくじを「引かざるを得ない」ことがわかります。
 そしてこの問題は,いつ何時,あなたの身の回りにも降り掛かってくるかもしれない問題なのです。くじを引く可能性は,誰にでもある——。だとしたら,社会全体で,そういった「くじ」を引いてしまった人が,極端に不幸にならずにすむ体制(社会保障制度)を確立しなければならないということは自明でしょう。

荻上チキ (2012). 僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか:絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 幻冬舎 pp.153-154

入れ替え

ただし,もともと日本の政治システムは,首相をその状況ごとに入れ替えていくという仕組みを採用していました。これまでもずっと支持率が低下したり,スキャンダルが明らかになるたび,トップをすげ替え続けてきたのです。つまり,日本ではもともと,短期政権であることが普通で,個々数年が異常だというわけでは必ずしもありません。

荻上チキ (2012). 僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか:絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 幻冬舎 pp.36

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